社労士のシモデ(@sr_shmd)です。
突然ですが人事労務に関するクイズです。
- 試用期間はどのように運用するとよいでしょうか?
- 答えは次のうちどれでしょう?
(1) 試用期間は設けなくてもよい
(2) 試用期間を短縮できる
(3) 試用期間を延長できる
(4) 試用期間でも簡単に解雇はできない
(5) 試用期間の途中で解雇することができる
正解は・・・ある意味で(1)〜(5)のすべてが正解ですが、「(4) 試用期間でも簡単に解雇はできない」が一番重要です!
この記事では、試用期間の正しい運用方法について解説します。
この記事は次のような人にオススメです!
- 就業規則を担当している人事労務担当者
- 新入社員の教育担当者
- 社労士試験の受験生
試用期間で適性を判断する
試用期間中にやるべきことは、会社・従業員ともに「お互いに合っているのか」を確かめることです。
時間とお金をかけて採用活動をしても、やはり実際に一緒に働いてみないと分からないことがたくさんあると思います。
能力もそうですし、会社の風土に合うかどうかを判断することも重要です。
試用期間は「この先一緒に働いていけるのか」をお互いに判断する大事な時期です。
そのため、従業員が何か不注意なことを行ったり、勤務態度が悪いなどネガティブな行動を取ったりした場合には、きちんと注意・指導しなければなりません。
なんとなく試用期間の終わりを迎えてしまい、そこから「どうしよう?」と悩んでも遅いのです。
試用期間の数ヶ月の間に、自社の従業員として適性があるか、本採用するかどうかを決断しましょう。
試用期間は正社員に対して適用する
試用期間には、「この先一緒に働いていけるのか」を検討するという役割があります。
したがって、基本的には長期雇用を前提とした正社員に対して設けるものです。
パートタイマーやアルバイト、有期雇用の契約社員などには、試用期間を設けないことが一般的です。
また、正社員であってもお互いに十分知り合っている関係なのであれば、その方に対しては試用期間を適用しないこととしても構いません。
就業規則に試用期間のルールを記載しておく
試用期間を会社の制度として設けるのであれば、就業規則に運用ルールを明記しておきましょう。
会社のルールとして明らかにしておかないと、従業員とのトラブルが生まれるきっかけになってしまいます。
就業規則に記載する内容は、主に以下のようなことです。
- 試用期間の長さ(3〜6ヶ月が多い)
- 試用期間を短縮 or 延長することがあること
- 本採用を判断する具体的な基準
- 本採用は、試用期間の途中〜満了日までに決定すること
就業規則については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。
試用期間中でも簡単には解雇できない
労働基準法に、「試用期間が始まって14日以内なら解雇予告のルールが適用されない」という条文があります。
解雇予告のルールとは、「解雇をするなら少なくとも30日前に予告するか、平均賃金30日分を支払え」というものです。
このルールを「試用期間中なら解雇が簡単にできる」と勘違いしている方がときどきいらっしゃいます。
試用期間の14日以内なら単に解雇予告か平均賃金の支払いが法的には不要というルールなのであって、試用期間の14日以内なら解雇が簡単にできるわけではないのです。
試用期間であっても解雇、つまり本採用拒否をするのなら「客観的に合理的な理由」が必要とされています。
そのためにも、試用期間はただ何となく過ごしてよいものではないのです。
従業員の不注意等に対しては注意・指導し、記録を残しておきます。
場合によっては書面での注意・指導も必要です。
おおげさに感じるかもしれませんが、もし本採用拒否について従業員ともめた場合には、「客観的に合理的な理由」があったから解雇をしたのだということを、第三者に説明して納得してもらわなければなりません。
なぜなら、日本の雇用社会では解雇がむずかしいからです。
ただし、一度採用してしまったら絶対に解雇ができないわけではありません。
試用期間は「今後長く一緒に働いていけるか」を判断するためのものですので、先のことを考えれば、お互いに合わないなら関係を解消するのが一番だと思います。
しかし、関係を解消するにしても、いきなり解雇(本採用拒否)を通知するのではなく、まずは話し合いによって労働契約を解消することを目指すことがベストです。
試用期間の正しい運用方法まとめ
- 試用期間はどのように運用するとよいでしょうか?
- 一般的には長期雇用の正社員に3〜6ヶ月の試用期間を設けます。就業規則には、期間の長さや短縮・延長について、本採用判断の基準等を記載しておきましょう。また、試用期間でも簡単に解雇できるわけではないことにも注意しましょう。