資格の勉強について一般的によくいわれることですが、社会保険労務士試験も例外ではありません。
それは、「試験合格後も勉強はつづく」ということです。
周囲に勉強家の社労士の方がいれば刺激を受けることもできますが、そうでなければ、試験合格後も自ら積極的に情報を収集し続ける必要があります。
今回は、試験合格後にオススメの勉強方法をお伝えします。
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会報・メルマガの情報提供を使う

とくに社会保険関係は、法改正が頻繁に行われますよね。
法改正の情報を取得し続けなければ、お客さんに間違った情報を提供する可能性があります。
それだけでなく、業務において無駄なことをし続ける可能性もあります。
手続きにおいては、添付資料がなくなったり、署名・押印が不要になったりするからです。
役所が「いらない」といっているものを、準備し続けるのは、ムダでしかありません。
こうした主な法改正については、全国社会保険労務士連合会が発行している『月刊社労士』や地区の社会保険労務士会が発行している会報やメルマガでチェックするようにしましょう。
- 法改正については、会報やメルマガで情報収集するのが基本。
オススメの本・サービス
社労士に必須の本
社会保険労務士として仕事をしていくにあたり、自分の考え方やどの分野に特化するかで、必要な書籍は変わってくると思います。
しかし、これだけは誰でも必須だろうという本があります。
菅野和夫先生の『労働法』です。
菅野 和夫 弘文堂 第十二版 2019-11-28
私も、社労士になってから菅野和夫さんという存在を知りました。
菅野先生は日本の労働法学者で、実務は菅野先生が確立された見解をベースに動いているともいえるそうです。
私は、日々の業務の参考にするというよりは、法律の成り立ちを確認するときに参照することが多いです。
労働者側、会社側のどちらで働くかにかかわらず、法律の基本的な考え方と全体像は、『労働法』に立ち返って確認するとよいでしょう。
実務遂行にオススメのサービス

まずは、JILPT(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)の資料です。
JILPTホームページへ(外部リンクが開きます)
JILPTとは、厚生労働省所管の独立行政法人で、労働の実情や労働政策について調査・研究している機関です。
たとえば、2020年1月には「年金保険の労働法政策」についてのレポートが発行されたり、2021年2月には新型コロナウイルスと雇用の関係についての統計データが公表されています。
社労士として、長期的な視点で業務を行なっていくのに役立つ資料が盛りだくさんです。
日常業務で活用するというよりは、国や厚生労働省が向かう方向性を知るときに使うサービスかと思います。
非営利なので、資料や統計データは無料で公開されています。

つぎに、言わずと知れた『労政時報』です。
株式会社労務行政が発行している雑誌です。WEB版がオススメです。
労政時報ホームページへ(外部リンクが開きます)
実務は、労政時報が助けてくれます!
企業や働く人への調査や統計資料もあれば、弁護士や社労士の方々が回答するQ&Aも検索できます。
お客さんから素朴な質問を受けたときには、まず労政時報で検索して調べています!
料金プランはいくつかありますが、基本料金は年間76,000円(税抜)です。

上記の労政時報では、「労働法ナビ」といって、法令・通達・判例・コンメンタールなどを横断的に検索できるという「神サービス」が提供されていました。
しかし、2022年2月末に労政時報の中の「労働法ナビ」は終了してしまうことになりました。
「労働法ナビ」ほど便利なサービスはなかなかないのですが、ほかに代わるサービスを2つ紹介します。
まずは、『労務事情』です。
年間67,650円(税込) 年間22冊
『労務事情』は、実務に役立つQ&Aや、裁判例を丁寧に読み解いた記事が特徴です。
オンラインで見たい方には、「労務事情INTERNET with 労働判例」がオススメです。
『労務事情』を見られるだけでなく、裁判例の解説に特化した『労働判例』もオンラインで見れます。
年間70,950円(税込) 年間22冊
最後は、株式会社日本法令の「SJS社労士情報サイト」です。
今回紹介したサービスの中で、社労士に特化したサービスです。
SJS社労士情報サイトへ(外部リンクが開きます)
書式や就業規則のひな型をダウンロードでき、ビジネスガイドもオンラインで見ることができます。
1冊1,100円(税込)
SJS社労士情報サイトは、主に開業社労士向けのサービスです。
営業支援ツールをダウンロードできたり、PRページに情報を掲載したりもできます。
ベーシック会員は、年間25,800円(税抜)です。
ビジネスガイドを年間購読する値段の2倍いかない値段で、役立つひな型がダウンロードできるありがたいサービスですね。
- 菅野先生の『労働法』は、絶対に手元に置いておこう。
- 国や厚生労働省の動向を知るならJILPTの調査・研究をみる。
- 実務では、労政時報、労務事情、労働判例、SJS社労士情報サイトがおすすめ。
転職サイトで情報を得る

そして、情報収集としては少しイレギュラーなのですが、転職サイトに登録するのも有用です。
株式会社MS-Japanが運営しているMS Agent(エムエスエージェント)は、社会保険労務士などの士業を含め、経理・財務・人事などに特化した転職サイトです。
MS Agentホームページへ(外部リンクが開きます)
MS Agentでは、社会保険労務士の資格を持つ人を募集している求人を検索することができます。
資格保有者の年収相場を知ることができます。たとえば東京で検索すると、300万円〜1,000万円とかなり幅がありますね。
英語力があれば年収が高いことが分かるなど、自分のスキルアップにも役立つ情報が得られます。
MS Agentに登録すると、同じアカウントで「Manegy(マネジー)」というコミュニティサイトも利用できます。
Manegyでは、専門家が最新の法令改正をレビューしていたり、企業の人の管理部門についてのコラムを読むことができます。
人事労務管理に関するひな型をアップロード・ダウンロードすることもでき、機能が豊富です。
社労士の登録番号を記載してプロフィールを作成すれば、より多くの機能を使えます。
営業ツールにも使えそうですね。
MS Agentに登録することで、Manegyも使うことができます。
- 社労士の市場ニーズを知るために転職サイトに登録するのは有効。
- リクルートやマイナビ、ビズリーチがメジャーだが、社労士に特化しているのはMS-Japanの「MS Agent」。
- MS Agentに登録すれば、Manegyというコミュニティサイトも使える。
このように、社会保険労務士の試験に合格した後も、いろんな方法で勉強し続けることが大切です。
私が行った試験勉強の具体的な方法は、以下で紹介していますので、よろしければこちらもご覧ください。
まとめ
- 社労士試験も他の資格試験と同じく、合格後も勉強しつづけなければならない。
- 基本的な法改正は、社労士会の会報やメルマガで情報収集する。
- 実務で役立つ情報は、JILPT、労政時報、労務事情、労働判例、SJS社労士情報サイトがおすすめ。
- 社労士の市場ニーズの把握や企業とのコミュニケーションにはMS Agentがおすすめ。