労務のスタートは正しい時間管理から!

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人を雇って働かせるということは、その人の時間を使って、成果を上げるということです。

労務管理においてもっとも重要なのは、「信頼関係」をつくることです。

会社は法律を守って労務管理をすること、従業員は決められた時間で職務に専念することで信頼関係はつくられていきます。

信頼関係をつくるには、お互いに行動で示していくしかありません。

そのためには、従業員の時間を使うということを、なあなあにすることなく、きちんと行っていくことに尽きます。

トラブルを防ぐための労務の第一歩は、正しい時間管理です。

今回は、正しい時間管理の3つのポイントをご紹介します。

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なんの時間をチェックすればいいのか

従業員の時間をきちんと管理しようっていうけど、「時間」っていったい何を指しているの?

従業員を「働かせている」時間を指しているの。具体的には、会社が従業員に「指揮・命令している」時間のことよ

「指揮・命令している」って、たとえばどんなこと?

はっきりと指示することに限られないの。始業時刻の前に掃除や朝礼を行っているとか、電話のために待機させているとか、参加せざるを得ない飲み会なども、会社が「指揮・命令している」時間にあたるのよ

労働法において問題になる「時間」とは、実際に従業員を働かせている「実労働時間」を指します。

「実労働時間」とは、会社が従業員に「指揮・命令している」時間のことです。

「指揮・命令している」時間をチェックする

「指揮・命令」は、「〇〇の業務を行ってください」というはっきりとした命令に限られません。

始業時刻前に行わせている掃除の時間や朝礼の時間も、「実労働時間」にあたります。

休憩時間中に交代で電話番をさせていれば、その時間も「実労働時間」です。

従業員の任意ではなく、参加が強制されている研修や飲み会の時間も、「実労働時間」です。

会社は、「実労働時間」に対して賃金を支払う義務があり、また、長時間労働にならないよう管理する必要があります。

つまり、会社は、このように「指揮・命令している時間」をチェックしなければならないのです。

従業員は勝手に残業することはできない

逆に言えば、指揮・命令していないのに、従業員が勝手に早く出社したり、残業したりしても、それは「実労働時間」にはあたりません。

「実労働時間」にあたらない時間ならば、その時間に対して賃金を支払う義務は生じません。

たとえば、従業員が自発的に混雑を避けて出社していたり、残業命令をしていないのにダラダラと残っている場合があります。

会社の指示ではなく、従業員の判断で早く出社しているのであれば、その時間に賃金を支払う必要はありません。

一方で、従業員が勝手に残業していることがあれば、放置しておくべきではありません

会社が業務の状態をきちんと把握できていないと判断される上に、後に残業代を請求されるというリスクもあります。

今日やらなければならない業務がなければ、従業員を帰らせなければなりません。
従業員が業務を行っていなかったとしても、終業時刻後に会社施設内で事故などが起これば、会社の責任が問われかねません。

残業命令をしていないのに従業員が遅くまで業務を行っている様子があれば、業務の負荷が大きくなっている可能性もあります。

会社には従業員の健康を管理する義務があることからも、会社は状況を把握する必要があるのです。

MEMO

労務の基本は、従業員の時間管理。「時間」とは実際に働かせている「実労働時間」を指す。会社が「指揮・命令」していれば、実労働時間にあたる。

労働時間の制度を理解する

会社は、従業員を実際に働かせている時間をチェックしなきゃいけないんだね

時間管理は、お給料を支払うことと健康を管理するという2点において重要なのよ

そうすると、従業員を働かせられる時間には限りがあるのかな?

そのとおり! 最近は、労働時間の上限規制が厳しくなっているから、労働時間制度を理解することの重要性が増しているのよ

会社は、従業員に指揮・命令して実際に働かせる「実労働時間」をチェックしなければなりません。

そして、労働基準法には、従業員を働かせられる時間数に上限を設けています。

「1週40時間、1日8時間」が原則ルール

まずは、原則のルールをおさえましょう。

1週40時間、1日8時間が、原則の実労働時間の上限時間数です。

これが原則の上限時間ですので、この範囲内で会社ごとに始業時刻と終業時刻を決めて、所定労働時間を定めます。

たとえば、始業時刻9時、終業時刻18時、休憩1時間といった具合です。

原則のルールの例外には、2パターンあります。

ひとつが週40時間を超える所定労働時間を設定できるパターンと、もうひとつが1日に働く時間をある程度従業員に任せるパターンです。

週40時間超を設定する「変形労働時間制」

1週40時間を超えて従業員を働かせなければならない時期があらかじめ分かっているのなら、「変形労働時間制」を採用します。

1ヶ月や1年などの「変形期間」を決めて、その変形期間の枠内で上限時間数を超えなければ、1週40時間や1日8時間を超えて所定労働時間を設定できるという制度です。

たとえば、1ヶ月という変形期間を決めた場合を考えてみます。わかりやすさのために、暦日数28日の月で考えてみます。

1ヶ月の変形期間の枠内の上限時間数は、40時間×28日÷7日≒160時間です。

月末が忙しいという会社であれば、1週〜3週目の平日5日間は、所定労働時間を7時間と設定します。

そうすると月末の第4週は、160時間−105時間(7時間×5日×3週)=55時間働かせることができます。

平日5日間働かせるとすると、第4週は1日当たり、55時間÷5日=11時間働かせることができるのです。

業務の繁閑が月単位ではなく、夏は忙しいけれど冬は暇といったように年単位で変わるのであれば、変形期間を1年にします。

1年(365日)の変形期間の枠内の上限時間数は、40時間×365日÷7日≒2085時間42分です。

この上限時間数を超えなければ、忙しい7月、8月は週1日休日、所定労働時間9時間と設定する一方、暇な冬は週3日、所定労働時間7時間と設定するといった、柔軟な運用が可能になります。

しかしながら、このような変形労働時間制は、あくまで例外ですので、導入するためには会社が守らなければならない決まりがあります。

たとえば、就業規則に定める事項が細かく決められていたり、従業員と労使協定を締結して労働基準監督署に届け出なければならないといったことです。

また、変形労働時間制は、あくまで「例外」なので、会社が勝手に時間を変更できるわけではありません。

変形期間の前にあらかじめ、所定労働時間を決め、始業・終業時刻を決める必要があるのです。

制度の詳細は、厚生労働省のパンフレットをご覧ください。

厚生労働省「1か月単位の変形労働時間制」(外部リンクが開きます)

厚生労働省「1年単位の変形労働時間制」(外部リンクが開きます)

ある程度従業員に任せる「フレックスタイム制」と「裁量労働制」

変形期間の前に、会社があらかじめ所定労働時間を定めるのではなく、従業員にある程度1日に働く時間を任せるパターンもあります。

「フレックスタイム制」と「裁量労働制」です。

フレックスタイム制は、始業時刻と終業時刻の決定を、従業員にゆだねる制度です。

もちろん、何時間でも働かせられるわけではなく、上限3ヶ月までの清算期間を設定して、その清算期間の枠を設定します。

清算期間の総枠の考え方は、1ヶ月単位の変形労働時間制と同じです。

たとえば清算期間を1ヶ月とした場合、暦日数28日ならば、40時間×28日÷7日≒160時間が上限時間数です。

この枠内で、従業員が日々の始業・終業時刻や1日に働く長さを決定できます。

ただし、変形労働時間制と同様、あくまで「例外」なので、フレックスタイム制の導入にも就業規則の規定や労使協定の締結が必要(清算期間が1ヶ月を超える場合には労働基準監督署への届出も必要)です。

制度の詳細は、厚生労働省のパンフレットをご覧ください。

厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」(外部リンクが開きます)

裁量労働制は、労働時間制度の中で一番導入が大変な制度です。

「専門業務型」と「企画業務型」の2種類あります。

始業・終業時刻だけでなく、業務遂行のための時間配分や手段・方法も従業員にゆだねます。

就業規則に定めるだけでなく、労使協定の締結・届出が必要です。

変形労働時間制やフレックスタイム制とは異なり、労使協定で定めた労働時間を「働いたものとみなす」という制度です。

専門業務型は、対象業務が19個に限られています。

企画業務型は、会社運営にかかわる企画、立案、調査、分析の業務に限られます。
また、専門業務型とは異なり、従業員の個別同意や「労使委員会」の設置が必要です。

制度の詳細は、東京労働局のパンフレットをご覧ください。

東京労働局「専門業務型裁量労働制の適正な導入のために」(外部リンクが開きます)

東京労働局「『企画業務型裁量労働制』の適正な導入のために」(外部リンクが開きます)

例外の2パターンでも36協定と割増賃金は必須

1週40時間、1日8時間の原則の上限時間数を超えて、従業員を働かせるには、2つやらなければならないことがあります。

従業員と36協定を締結して労働基準監督署に届け出ることと、割増賃金を支払うことです。

原則ルールの上限時間数を超えて残業させる際にも、さらに残業の上限時間数が決められています。

残業の上限時間数の原則は、月45時間、年360時間です。

残業の上限時間数と36協定の詳細は、厚生労働省のパンフレットをご覧ください。

厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(外部リンクが開きます)

割増賃金は、1週40時間超の部分には25%以上、残業時間が60時間を超えたら50%以上、週1日の休日に働かせたら35%以上、22時〜5時の深夜に働かせたら25%以上の割増率と決められています。

東京労働局「しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編」(外部リンクが開きます)

注意しなければならないのは、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制を採用したとしても、残業させるなら36協定の締結・届出と割増賃金の支払いは必須だということです。

あらかじめ定めた所定労働時間や、清算期間の総枠、「働いたとみなす」労働時間を超えて働かせるなら、その超過部分は残業にあたります。

会社の効率的な運営のために、従業員にイレギュラーな働き方させる代わりに、制度導入のための手続きや賃金精算が煩雑になることを受け入れなければならないということです。

どの部分が残業にあたり、どの部分に割増賃金を支払わなければならないかは、厚生労働省や東京労働局のパンフレットを確認してください。

労働時間の上限規制については送検件数が増加しており、割増賃金を含む賃金請求期間が2年から3年に延長されました。

この2点は、労務の基本として、まず最初におさえておくべきポイントです。

MEMO

労働時間制度の原則は、「1週40時間、1日8時間」。例外として、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制がある。残業させるなら36協定の締結・届出と割増賃金が必須。この2点は、労務の第一歩。

勤怠管理ツールをつかう!

労働時間には上限のルールがあって、それを超えて従業員を働かせるなら36協定の締結・届出と割増賃金の支払いが必要なんだね

従業員の時間は、会社にとっても従業員本人にとっても貴重なものだからね。

それを使って会社の成果を上げるなら、きちんとルールを守るべきだよね

きちんとルールを守ろうと思っても、仕組みが複雑だよね。何かいい方法はないかなあ?

今は便利な勤怠管理ツールがたくさんあるよ! ルールを守ってこそ、会社と従業員の間に信頼関係が築かれるから、ルールを守るために投資することも大切だよね

会社の資本の一つが人(ヒト)であり、そして人の時間を使って、会社は成果をあげます。

あなたの時間が大切であるというメッセージを伝え、信頼関係を築くには、労務の基本である労働時間のルールを守ることが大切だと思います。

タイムカードによる時間把握が原則

ただ、労働時間や残業時間をきちんと管理し、割増賃金を正確に支払うことは、非常に手間がかかることです。

毎度毎度の賃金計算期間に、時間をかけて勤怠を確認したり、後にミスが見つかれば精算したり、後から未払い賃金を請求されたりなど、労働時間管理にはリスクがつきまといます。

残業時間の把握や割増賃金の支払いだけでなく、従業員の健康維持の面からも、会社には、労働時間の状況の把握が求められています。(労働安全衛生法第66条の8の3)

健康維持のためですから、全従業員が対象です。フレックスタイム制、裁量労働制で働く従業員も、いわゆる管理監督者も含まれます。

時間把握の方法は、タイムカードによる客観的な方法が原則です。

でも、タイムカードに印字された時間を手入力したり、エクセルで管理するのは、かなり煩雑です。

便利なツールがたくさんあります!

幸い、現在は、便利なツールがたくさんあります。

従来のツールは、担当者のパソコンにソフトをインストールしてから設定し、バージョンアップされたら再度購入しなければならないなど、面倒なことが多い印象でした。

現在は、勤怠管理ツールを使うには、IDとパスワードを発行してもらい、インターネット環境にあるクラウド上で、データを管理できるサービスが増えました。

クラウド上にデータがあるということは、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるということであり、また、他のデータとの連携も簡単にできるということです。

代表的なサービスを3つ紹介します。

ひとつ目は、KING OG TIME(キングオブタイム)です。

勤怠管理に特化していますので、さまざまな雇用形態があり、労働時間制度も人によって異なるといった企業では、キングオブタイムがよいと思います。

30日間無料で全機能を試すこともできるそうです。

KING OG TIME(キングオブタイム)公式ホームページはこちら(外部リンクが開きます)

ふたつ目は、マネーフォワードクラウド勤怠です。

お金まわりの幅広いサービスを提供しているマネーフォワードが提供している勤怠管理ツールです。

給与計算システム「マネーフォワードクラウド給与」も提供しているので、データの連携が簡単です。

無料相談会も実施されてます。

マネーフォワードクラウド勤怠の公式ホームページはこちら(外部リンクが開きます)

三つ目が、ジョブカンです。

サービス内容はシンプルで、「まずはオンラインでの打刻を試してみたい」という方が試してみるのにぴったりだと思います。

30日間無料で全機能を使えます。設立3年未満の企業なら1年間も無料で使えるようです。

ジョブカン勤怠管理の公式ホームページはこちら(外部リンクが開きます)

MEMO

時間管理はタイムカードによる打刻が原則。健康管理のためには全従業員が対象。クラウド上でデータを管理できるツールを活用すると便利。無料でお試しできるサービスもたくさんあるので、まずは試してみよう。

まとめ

  • 正しい時間管理のポイントは3つ。1.実労働時間をチェックする、2.労働時間制度を理解する、3.便利な勤怠管理ツールを使う。
  • 実労働時間とは、会社が「指揮・命令している」時間のこと。
  • 労働時間制度の原則は、「1週40時間、1日8時間」。それを超えて働かせるなら36協定と残業代が必要。
  • 勤怠管理はタイムカードが原則。パソコンやスマホで打刻でき、クラウド上でデータ管理・連携できる便利なツールを活用しよう。

会社と従業員の間で信頼関係をつくるためにも、労働時間のルールを守ることが大事だね。最後まで読んでくれてありがとう!

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