社労士のシモデ(@sr_shmd)です。
ニコニコ
なにニヤニヤしてるんだ!やめなさい!
子どものとき、「なにニヤけてんだ」と叱られている男の子を見たことがないでしょうか。
男の子は、笑顔でいると叱られることがあります。
一方女の子は
・・・・・・
愛想がない子だね〜〜
と、普通にしているにもかかわらず「愛想がない」と怒られることがあります。
褒められるには愛想よく笑顔でいなければなりません。
この違いが、セクハラの原因の一つになると考えています。
この記事では、男性が「合意があった」と勘違いすることによるセクハラの危険性について考えてみたいと思います。
この記事は次のような人にオススメです!
- セクハラ被害に困っている人
- セクハラ被害で自分を責めてしまう人
- セクハラしないように気をつけたい人
「セクハラするリスク」より「勘違い」が強い
繁殖成功のため勘違いするほうに進化する
次の①②の2つのうち、繁殖成功の可能性が高いのはどちらでしょうか。
①女性にはその気がないのに「オレに気がある」と思う場合(ポジティブな誤解)
ありがとうございます
あんなに笑顔だなんて、オレに気があるのかな
②女性はその気なのに「オレなんてダメだ」と思う場合(ネガテイブな誤解)
ありがとうございます!!!!
オレがアプローチしてもどうせダメだよな・・・
①は、相手にフラれたりバカにされたり、セクハラだと言われて社会的な立場を失うかもしれません。
しかし②は、繁殖成功するチャンスをみすみす逃すことになります。
私たち人間は動物であり、生き物ですから、繁殖に成功し自分の遺伝子を残すために生存しています。
職場にいても私たちは「ヒト」であって、この前提は変わりません。
遺伝子を残すことを最大の目的とした場合、繁殖成功するチャンスを逃す代償の方がセクハラだと責められる代償よりはるかに大きいといえます。
そのため、男性は「オレに気がある」と自惚れる方向に進化していくと考えられます。
脳は1万年変わらない
とはいえ、セクハラがタブーなのは今の時代当たり前では?
著名人や会社のトップがセクハラで失脚するニュースが後を絶たないのに、なぜセクハラはなくならないのでしょうか。
一つには、私たちの「脳は1万年変わらない」からだと考えます。
人間が環境に適応するには非常に時間がかかります。
私たちがいまだに砂糖や脂を好んでしまうのは、すでに砂糖や脂がありふれていて、大量に摂取する必要がない環境に適応するのに、ものすごく時間がかかるからです。
セクハラがタブーであるという環境に対しても、適応することよりも勘違いすることの方が強く働いてしまいます。
職場では、社交辞令やご機嫌とりで笑顔をつくることが多々あります。
それが女性から男性に対する笑顔だと、「オレに気がある」と勘違いに繋がってしまうことがあるのです。
セクハラ被害に悩んでいる女性は、「自分が気を持たせるようなことをしてしまったのか」と、ご自身を責める必要はないと考えます
「合意」の勘違いがセクハラを引き起こす
セクハラを合意による恋愛と主張!?
職場のセクハラの典型例は以下の2パターンに分けられます。
- 女性の反応に関係なく、一方的に性的言動を繰り返すパターン
- 男性から見ると女性が明確に拒絶していないため、合意であり恋愛だと勘違いしてしまうパターン
1のパターンは男性による一方的な性的言動なので、裁判においてもセクハラが認定されやすいです。
一方2のパターンは、加害者とされる男性が
セクハラじゃありません、合意の上での恋愛なんです!
と主張しても、裁判において合意が否定されてセクハラが認められることが多々あります。
職場の上下関係等から、セクハラの被害者ははっきりと拒否できないことや迎合してしまうことが分かっています。
実際に男女の間柄っぽい会話があったり、性的な関係があったとしても、合意の上だったかどうかは別の話なのです。
「合意」を証明するのは難しい
職場では男女間に上下関係があることが多いため、女性が男性に対して社交辞令を言ったりご機嫌取りをしたりすることがあります。
こうした言動を男性が性的な誘いと受け取ってしまうことに、セクハラをしてしまう危険性があります。
体や立場を守るためには、上下関係において明確に「NO」を言うことや全力で拒否することは非常に難しいことです。
それどころか、性的関係を強要された場合、そのショックを自らやわらげるために「私のことを大事にしてくれているはず」、「私のことを傷つけるのは本心ではないはず」と思い込んで自分を守ろうとします。
性暴力に対する拒絶の意思を示すことの難しさは、裁判でも共通認識となってきています。この点については以下の記事を参考にしてください。
被害を訴えるまでに時間がかかることもあるため、男性にとって都合のいい関係がしばらく続いているからといって、それが合意だとは限りません。
被害者に訴えられた場合、性的関係を「合意の上での恋愛だった」と証明することは非常に難しいのです。
性的関係があったという事実は、裁判で争いにならない理由にはなりません
職場のセクハラの注意点についてもっと知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
セクハラの被害は第三者への相談が原則
ただ元気に働いているだけなのに、「オレに気がある」と勘違いされてセクハラされてしまうことがあります。
「悪い人ではないはず」と、しばらくは我慢できるかもしれません。
それでも我慢の限界で会社の相談窓口に相談し、適切に調査してくれたとしても、男性の方が立場が上、あるいは役職がついているといった理由で加害者である男性を守ろうとする会社もあります。
身近な人に相談すると「仲良かったじゃない」とか「嫌なら嫌と言わないと分からないよ」と自分を否定されてしまうこともあります。
八方塞がりのときは自分を責めてしまい、冷静に判断することが難しくなります。
客観的な意見が欲しいと感じたら、利害関係のない第三者にまずは相談してみるのも一つです。
直接あなたを救うことはできなくても、一緒にお気持ちを整理してどのような第一歩を踏み出すかを考えます。
セクハラ・パワハラの解決方法を一緒に考えます 現状とお気持ちを整理して、第一歩を踏み出すお手伝いをします「合意」の勘違いによるセクハラの危険性まとめ
- 繁殖成功のため、女性に対して男性は「オレに気がある」と勘違いするよう進化する
- この勘違いにより男性は「合意の上での恋愛だ」と思い込むが、女性にとってはセクハラになることがある
- 体や立場を守るために、被害者は性暴力に対して明確に拒絶の意思を示すことができない
- 被害を訴えられた場合、「合意の上での恋愛だった」ことを証明することは非常に難しい
<参考資料>
- アラン・S・ミラー、サトシ・カナザワ『進化心理学から考えるホモサピエンス』(2019)パンローリング株式会社
- 牟田和恵『部長、その恋愛はセクハラです!』(2013)集英社新書